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Pat Ngoho

スケートボーダーと彼らのイマジネーションが

スケートボーディングを美しいものにしているんだと思う。


ヴェニスビーチにあるパットノーホーの自宅兼アトリエ


スケートボーディングはアートとしての表現だと思っている。スケートを操るスケートボーダー、すなわちアーティストがスケートボーディングの美しさを表現しているんだ。たとえばスケートボードを手にした子どもがいるとする。スケートで遊んでいた子どもが、あるとき空のプールをみつける。プールの底を見た彼らは波を想像するんだ。スケートボードでその波に乗ってみようとチャレンジする。そしてこんどはその波から飛び出しエアリアルを決める。それを見た他の子どもはまた新しいことに挑戦する。そうやってイマジネーションを広げたスケーターたちが、スケートボードをひとつの表現方法として進化させてきたんだ。

ロックンロールスライド、フロントサイドグラインド、ステールフィッシュってね。プールをはじめハンドレール、縁石、これらはスケートボードをするために作られたものではないもの。それを目の前にしたスケートボーダーたちのイマジネーションによって生まれたできごと。スケートボードがただのアクティビティという枠に収まらなかった理由はその想像力があったからだと思う。それにトリックだって自分がメイクしたときのイメージをしっかり持っていないと成功させられないからね。ランス・マウンテン、スティーブ・オルソンと三人で「LOVE & GUTS」を続けているのもそういう理由からなんだ。スケートボードを続けるにはそれに対するパッション、いわゆるLOVE。そしてスケートボードを上達させるには多くの痛み、フラストレーション、それを乗り越えていくGUTSが必要。だから「LOVE & GUTS」というネーミングにしたんだ。

今回日本で行うショーのタイトルは「Back Yard Pool」。底の丸いプールはもともとカリフォルニアの建築の形を作った二人のドイツ人によって誕生したものらしいんだ。家のデザインから始まり敷地の庭や植える木々。そして裏庭に作るプールの形までも見直され、そのプールは表面だけではなく底のトランジッションまで考えられたんだ。それと同時にスケートボードのウィールもクレイ製からウレタン製に変わり、スケートボードの可能性がグッと上がったタイミングでもあった。


そして70年代にカリフォルニアで起きた干ばつがきっかけとなりプールスケーティングが誕生。すべてが奇跡的に重なり合った。そうやってそれまでのスケートボードとはまったく違うものが誕生したんだ。当時はそれが今日のスケートボードのスタイルを確立する基礎になっていくなんて誰も考えていなかったんだ。トニー・アルバのように自分のスケートスタイルでアティチュードまでをも表現するようになったんだ。だからカルチャーとしてのスケートボーディングを表現したくて「Back Yard Pool」というテーマを設けたんだ。





ロサンゼルス出身。スケートボーダーでアーティスト。Lance Mountain、Steve Olsonと共にアートショー「LOVE & GUTS」の主催者のひとり。


courtesy of everybody from LOVE & GUTS, Jack, Michi Sone, Seiichiro Shirahashi, KB and 16(Sixteen)

この記事はBackyard Poolの本からの抜粋です。以下のリンクから本を購入することができます。








”Backyard Pool”

text : Taku Takemura

Photo : Taro Hirano

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